毒親とお金、関係あるの?と疑問に思われるかもしれません。
疑問に感じると言うことは、あなたのご両親はそういうタイプの毒親ではなかったのだと思われます。
しかし、お金を使って金銭面でも子供を思うがままにしようとする親は、少なからず存在します。
金銭毒親について、詳しく考えていきましょう。
金銭毒親とは
通常、毒親というと、過干渉だったり、厳しすぎるしつけなどのイメージが先に沸くかもしれません。
しかし、金銭毒親というタイプは、それとはまた違った子供への影響を及ぼします。
基本的に、子供を思うがままに支配したい、思った通りに育てたい、親が自分自身を良く見せたり、アクセサリーのように自分を着飾るために利用したいというような気持が、根底にあったりします。
そしてその中で、金銭面で子供から自由を奪うことで、親の思うがままに子供をコントロールしようとするのです。
そして、金銭毒親には、2つのパターンが存在します。
1つは、まるでお金を子供のためであるかのように使ってくれるものの、それを理由に従わせようとする親です。
もう1つは、子供が自由に使えるお金を与えずに、金銭的自由を奪うことで従わせようとする親です。
どちらも、お金は結局は自分のために使っており、子供には金銭的な権利を与えず、それを人質にとるような状態です。
お金を援助する金銭毒親
まず、お金を援助する毒親です。
援助する対象が何であれ、少額であろうが高額であろうが、お金をまず表面上は子供のために使います。
高額であれば、例えば、マンションを買ってあげる、住宅購入時に資金援助する、自動車を購入してあげるなどです。
そして、少額であっても、それは金銭毒親から見れば、子供を支配する材料になります。
この雑貨を買ってやった、あの時お前が欲しいと言った文房具、買ってあげたのになぜ言うことをきかないんだ、などの状況があるでしょう。
このように、金額が高くても安くても、金銭面での援助を理由に子供をコントロールしようとする親は、金銭毒親の可能性があります。
支配する援助
大人になって独立してからは、両親に金銭面で援助をしてもらうことはありませんでした。
というよりも、できるだけ世話になりたくなくて、自分の稼いだお金でどうにかしなければと、いつも思っていました。
しかし、就職するまでの18年間は、親にお金を出してもらわなければいけない場面は数多くありました。
高校までの学費、食費、光熱費、教材代…なんでも親に払ってもらって、ことあるごとにそれを言われ続けてきました。
誰が払ってやってるんだ、誰のおかげで飯が食えてるんだ、学校に行かせてもらっている分際でえらそうな口をきくな、など、日常的に言われ続けた言葉です。
高校卒業前に、自動車の運転免許を取らせてほしいとお願いして、それは親に出してもらい、約30万円ほどかかりました。
親に出してもらわずに、在学中にバイトすればよかったんじゃないの?という意見もあるかもしれません。
私もそう考えて、バイトをしてもいいかと両親に尋ねたことがあります。
今だったら、親なんかに言わずにやってしまえばよかったなと思えるのですが、親元で暮らしていて、すぐに見つかってしまうかもしれない距離にいて、内緒でバイトをするなど、当時の私には到底できなかったのです。
バカ真面目に、バイトすることを許可してほしいと、お願いしました。
両親は、即、バッサリと切り捨てるように、貧乏人みたいなことをするなと言いました。
普通に生活できる金があるのだから、学生がバイトなど必要ないということでした。
卒業後に備えてお金を貯めておきたい、と、何度か説明しましたが、それ以上言うなら出て行って、1人で生活しろと言われました。
高校中退して働くほどの勇気も無く、分かった、ごめんなさい、と言って、私はそれ以上バイトをしたいとは言えませんでした。
免許取得にお金を出したのは親だ、今まで育てたのは親だ、これらを、本当に未だに、会うたびに言われるのです。
確かに育ててもらい、お金を払ってもらったことは確かです。
感謝もしているし、実際に感謝を口にしたり、食べ物を送ったり、時々顔を出したり、自分にできることはしているつもりです。
しかし、それでは満足してもらうことはできないのです。
今なら、産んだのは親だ、私が望んで産まれたわけではない、と思えます。
もちろん、親本人には言いませんが。
しかし、そんなことは考えてはいけないこと、口が裂けても言ってはいけないことだと、ずっとその感情は押し殺してきました。
学校に通わせて、食べさせて、育てた、ということまで、支配の理由としていわれつづけなければいけないのでしょうか。
普通の家庭では、考えられないことでしょう。
しかしそれが、毒親の元では、当たり前の言葉として、何度も突き刺さってくるのです。
毒親からすれば、理由が何であれ、金額がいくらであれ、子供を支配するための理由になります。
そして、いつまでも、何度でも、その理由を盾に、子供をコントロールしようとしてきます。
一般的な家庭の話
私の職場は年齢層が広く、現在進行形で子育てをしている人はもちろん、既に子育てを終えてパートとして週に数回だけ働いている人や、独身の人、夫婦だけで子供がいない人など、本当に多様な家族のあり方を見ることができます。
そして、子育ての話をしていると、先輩ママさんたちからいろいろな話を聞くことができます。
その中でとても印象的だったのは、ある子育てを終えた50代の女性の話でした。
娘と息子がいて、もう全員独立したり、結婚して別の世帯で生活しているので、時々会って一緒にご飯を食べたりするそうです。
家族関係は良好で、ご主人とも未だに仲が良く、休日にデートしてきたちと、理想的な家族という感じがします。
この方を、仮にMさんとしましょう。
Mさんは、子供たちが小さい頃は、流行の文房具や、人気のマンガやなど、欲しいと言ったものはたいてい買ってあげたと言っていました。
もちろん、同じようなものを際限なく購入したり、高額でもなんでも簡単に買ってあげたわけではなく、クラスで笑いものにされたり、仲間外れにされたりしないように、ある程度の常識の範囲内で、基本的にはお金を自由に使えるようにしていたと言っていました。
そして今でも、親子関係は良好で、何でも話してくれるのだそうです。
私は、これを聞いた時に衝撃を受けました。
私の幼少期とは違い過ぎていたからです。
全く別の家庭ですから、違うことは当たり前なのですが、それにしても、よそのお宅はそういうところも自由にさせてもらえるものなのかと、とても驚いたのでした。
確かに、私の学校の同級生たちは、文房具でも、駄菓子でも、自由に使えるお金を持っていました。
自分のお小遣いで買えないものは、お父さんやお母さんにお願いして、買ってもらっていたようです。
お小遣いの金額は、家庭によって様々でしょうが、お小遣い以外の臨時の出費も、基本的には許可されている家庭が多かったように思います。
女の子たちであれば、新しいペンケース買ってもらったんだ、とか、雑誌に載ってた洋服買ってもらった、とか、そんな会話が当たり前のように聞こえていました。
制限で支配された私の幼少期
まずは、金銭面に限らず、一般的な家庭に比べて、我が家はとても厳しかったです。
しつけも厳しかったですし、お金の自由はほぼ皆無でした。
我が家は、どちらかと言えば後者の金銭毒親、つまり、金銭的自由を与えない毒親だったと思います。
お小遣いも、姉の頃はあったはずなのに、なぜか私にはくれませんでした。
お小遣いが欲しいと、お願いしてみたことはありました。
しかし、親の言うことを聞かないからとか、態度が悪いとか、そんな理由をつけられて、お小遣いはもらうことができませんでした。
必要なものくらいは、その都度買ってもらえたんでしょ、と思うかもしれません。
いいえ、それも違います。
必要な物さえ、買ってもらえないことが多かったです。
例えば、学校で指定される文房具は、大人から見ればどうでもいいようなルールかもしれませんが、学校側に従わなくてはなりません。
集団だからこそ、持ち物の差でいじめやらなにやらが起きないように、そういった理由もあったのかもしれません。
赤と青がくっついた両端から削って使うタイプの色鉛筆を用意してください、と言われれば、たまたま家にあった、お絵かきや塗り絵に使うクーピーの中から赤と青だけ持っていったら?と言われます。
そんなものさえ、買ってもらうことができないのです。
せめて、お小遣いがあれば、その中から自分で買うこともできたでしょうに、それすら叶いませんでした。
担任の先生からは、指示に従わない、悪い生徒だと思われていたでしょう。
しかし、従わなかったのは私ではなく、私の両親なのです。
でも、子供だった私はそれをうまく説明できず、ごめんなさい、これを持っていきなさいって言われて…と、謝ることしかできませんでした。
この調子ですから、かわいいシールや、キラキラするペン、流行っていたアニメの小物など、私は欲しいものを買うことができませんでした。
もちろん、お願いしても買ってくれることはありませんでした。
どうにかしてお小遣いや、おねだりを聞いてもらいたいがために、勉強も、お手伝いなどもがんばりましたが、何か気に食わないことがあればすぐに、はい!今月もお小遣いなーし!と宣言されました。
支配から逃れるために独立する
高校卒業後、就職して家を出ました。
自分で稼いだお金で、自分で生活することで、親に文句を言われる場面も減り、例え言われたとしても、電話などで聞き流すことができるようになりました。
また、自分で自由に使えるお金ができたことで、やっと金銭的な自由を得られたと、とてもうれしかったことを覚えています。
同期入社はほとんど大卒で、月給で私よりも3万円以上高く、同じ仕事をしてもこんなに収入が違うのかと悔しい思いもしましたが、それでも、自由であることの喜びが勝っていたと思います。
仕事で成果を出せば、収入は少しづつですが上がっていきましたし、家庭ではいくらがんばってもお小遣いはもらえなかったので、大人ってすばらしいものだと、心の底から感じていました。
金銭毒親育ちの弊害
自由を得られたものの、それまで制限されつづけてきた金銭感覚は、ケチそのものでした。
ケチであるにも関わらず、物欲が止まりませんでした。
節約できるところは節約して、その分、欲しいものがあったらバン!と使って、洋服やアクセサリー、子供の時に変えなかった文房具も、大人になってから買いあさりました。
制限され過ぎたまま大人になり、突然金銭的な自由を得ると、自分を制御することがとても難しくなります。
今は落ち着き、お金の管理もそれなりにできるようになりましたが、下手すれば借金をしたり、他人の物に手を出したりしていたかもしれません。
このように、制限だらけの幼少期には、何のメリットもありません。
親が子供を制限して幼少期は親の思い通りになったとしても、大人になって自由になった時の反動は怖いです。
子供のうちに、かわいい駄菓子や文房具など、ちょっと失敗しても大丈夫な金額で、物の買い方を知っておくほうが賢明だと感じました。
大人になってから大金で失敗してしまっては、取り返しのつかないことになってしまう場合もあります。
私も、定職につけていなかったら、もしも早くに辞めてしまったりしていたら、買い物をしすぎて破産していたかもしれません。
まとめ
金銭面で援助したことを理由に、子供を思い通りにコントロールすることも、金銭面の自由を与えないことも、そのどちらも金銭毒親です。
我が家はどちらかといえば、自由を与えない金銭毒親でした。
しかし、大人になって独立し、親元から離れて、結婚して子供がいるにもかかわらず、未だに恩着せがましく、学校に通わせてやった、免許を取らせてやった、と言われます。
そして、実家に金を入れろだの、世話になった恩返しをしろだの、介護は当たり前だの、平気で言ってくるのです。
毒親から逃れる方法は、物理的に離れることです。
距離を置くことで、言葉での攻撃はあるにしても、逃げ道ができます。
しかし、自由になったとたんに、やりたい放題することは危険です。
今までの制限の反動で、あるだけ全部お金を使ったり、借金にまで手を出したりしてはいけません。
一番いいのは、幼少期に少額で失敗したり、買い方を覚えておくことですが、金銭毒親の元でそれが叶わなかったなら、大人になって自由を得てから、しかし生活に支障の出ない範囲内で楽しむことが大切です。
自分をコントロールできずに失敗して、親元に帰るという結果にだけはなりたくありません。
自由を維持しながら、楽しむために、よく計算して余裕資金の中でお金を使う自由を楽しみましょう。
ここで、自分をコントロールできれば、その自由をずっと楽しむことができます。
失敗して破産して、また毒親の元へ帰らなくて済むように、自分を制御しながら上手なお金の使い方を身につけましょう。
自分が親になった時には、子供にも金銭的自由を与え、正しい使い方を教えてあげられるようにしましょう。
自分も金銭毒親になってしまわないようにしたいものです。
幼少期の辛い経験から、毒親育ちである自分が親になってもいいものかと悩むケースも多いようです。
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