小学校に入学する前に、ひらがなの読み書きができるようになる子どもたちが増えています。
これは、幼稚園や保育園での教育はもちろん、自宅でのひらがな練習などの賜物と言えるでしょう。
親が教えなくても、自分から興味を持って文字に触れ、どんどん吸収してくれる子どももいますが、そうでない子もたくさんいます。
文字への興味を引き出す方法も記事にまとめていますので、併せてお読みください。
今回は、我が家の実体験と一緒に、ひらがなの効率的な学習の方法を順番に見ていきましょう。
ひらがなの練習の前に
いきなりドリルを購入して来たり、プリントを用意したりしていませんか?
私も、さっそくひらがなドリルを用意した一人でした。
息子は、初めて見たひらがなドリルに興味津々でしたが、最初のうちだけでした。
始めの1ページは楽しく取り組んだものの、すぐに飽きてしまい、もうやらないと言って、ひらがなの練習をやめてしまいました。
何がいけなかったのでしょうか。
ドリルを始めるまでに、ひらがなの読みはほぼできるようになっていましたし、文字の少なめの絵本などは、自分で読めるようになっていました。
原因は、子どもの手の力の発達と関係がありました。
子どもたちは、クレヨンなどのやわらかい画材を使えば、簡単にはっきりと、濃い色で描くことができます。
力を込めなくても描きやすいので、子どもなりに自由に線を描き、お絵かきもどんどん上達していきました。
しかし、文字の練習、特にひらがなに関しては、勝手が違いました。
ひらがなの練習で、私が最初に与えた筆記用具は2Bの鉛筆でした。
ひらがなは曲線が多く、小さいマスの中で細かく鉛筆を動かす、いわゆる運筆が重要になってきます。
運筆とは、文字を描くときの筆の動かし方、筆づかいのことで、イメージした形の通りにスムーズに筆記具を動かして書く力のことです。
運筆が弱いまま大きくなると、描くスピードも遅くなるので、授業のノートを取るのについていけなくなってしまったり、テストなどでも書くのに時間が取られ、問題を全部解き終わることができなかったり、そもそも書くこと自体が嫌いになってしまい、勉強が苦手になってしまうこともあります。
運筆がその後の教育にも非常に大きな影響を与えることがお分かりいただけたと思います。
では、どのように運筆の練習をするのがいいのでしょうか。
運筆の練習
ひらがなドリルの最初のほうのページに、少しだけおまけページが付いているのを見たことがあるかもしれません。
ジグザグ、なみなみ、ぐるぐる、といった線をなぞったりする、運筆の練習のためのページです。
ただ、このおまけのページだけでは、子どもたちも飽きてしまいがちですし、何より練習量が足りません。
ここで役に立つのが、迷路です!迷路は子どもたちも大好きで、飽きることがありません。
息子も、迷路かくんだ~と言って、大人から見るとただの殴り書きですが、ひたすら紙に線をぐちゃぐちゃかきまくることがあります。
最初は簡単な迷路から初めて、徐々に細かい迷路にレベルアップしていきます。
迷路の線を辿る時に、筆圧を濃く、はっきりと丁寧に、迷路の線からはみ出さないように気を付けて挑戦してもらうと、より効果が上がります。
細かい曲線や、直角に曲がる部分など、スムーズに筆運びができるようになったら、今度こそひらがなの練習にステップアップしていきます。
ひらがなをなぞる
いきなりまっさらな状態で、はい、ひらがなを書いて!というのは難しいことです。
大人でも、絵やイラストを描くのが苦手な人がいます。
絵が苦手な人は、物の形をはっきり記憶していないことが多く、子どもたちの文字の形の記憶も同じことで、はっきりと記憶していなければ、思い出して書くことはとても難しいです。
はじめは無理せず、ひらがなをなぞるところからスタートしましょう。
最初は線からはみ出したり、うまくなぞることができないかもしれませんが、お子さんをほめながら、楽しく取り組める雰囲気を作るようにしましょう。
問題なくなぞる練習ができるようなら、次のステップの、見ながら書く項目へ続きますが、なぞる練習だけでも挫折してしまうことがあります。
運筆の練習が足りないことの他に、もう一つの原因が考えられます。
練習の順番です。
文字の練習の順番
『あ』から『ん』までのひらがなを、順番に練習していくと思われがちですが、これは子どもにとってはかなりハードルが高いと言えます。
私は、あまり深く考えずに『あ』から練習を始めさせてしまい、ここでもやはり息子は嫌になってしまい、拒絶反応を示しました。
つくづく思いますが、私って本当に育児で失敗ばかりしていますね…。
難しいことをやらせていると気づかずに、え、もう飽きたの?!なんて聞いたりして、ひどい母親です。
それでもめげずにがんばってくれる息子の根性は本当にすごいと思います。
息子よ、ダメな母ちゃんでごめんよ…。
まず初めに来る『あ』の文字ですが、初めて文字を練習する子どもたちにとって、『あ』の文字はとてもレベルが高く、我が家の失敗談のように、難しい、できない、という感覚を植え付けてしまいがちです。
文字の練習のルールとして、一筆で書ける文字で、かつ直線で構成されているものから順に練習していくようにしましょう。
正確には直線ではなく、微妙なカーブで書くのですが、できることを増やしていくことがとても大切なので、文字のバランスが悪くても、ふにゃふにゃになってしまっても、どんどんほめてあげましょう。
例えば、一画で直線だけの文字である『へ』や『く』から始まり、一画で曲線で構成される『し』や『つ』やなどに続いていきます。
一画書ける文字に慣れてきたら、二画で直線で書ける文字である、『い』や『こ』などの練習をしていきます。
三画で書ける文字では『に』『け』などが比較的簡単ですので、先に練習できます。
『も』など、直線、曲線と順番に練習してきた項目を組み合わせて書く文字も、子どもたちの自信につながるので、中盤で挑戦していきましょう。
画数が少なくても、『て』や『ん』や『え』などの折り返しを含む形は、子どもにとっては難しい印象を与えがちなので、少し慣れてきてから練習するようにしましょう。
『お』や『す』や『は』、『ま』などの、くるんと回す輪っかを含む文字は、一緒に、くる~んと声を出しながら書いていきます。
『わ』『れ』『あ』などの複雑に交差する文字は、二画目以降の書き出しの位置が難しかったり、交差する場所のバランスのとり方も難しいですので、練習の終盤に挑戦しましょう。
ドリルの順番通りではなく、画数が少なく、書きやすい順番で進めていくというポイントに気を付けて、楽しく練習しましょう。
始めのうちは、文字を書くという慣れない動きにすぐ疲れてしまうかもしれませんが、練習の順番を意識して、できることが徐々に増えていくことをお子さん自身が実感すると、今日もやってみる~!と、自分から言い出してくれるようになりますよ。
最初は私のせいで挫折しかけた息子でしたが、迷路からやりなおしてなんとか立て直し、今では簡単なお手紙を書いてくれたり、お絵かき用に紙を出しても、自分で何やらひらがなを書いて、上手でしょう!と自慢げに見せてくれることもあります。
書き順の教え方
書き始めはどこなのか、しっかり意識して書くようにします。
書き始めはここだよ!と説明するよりは、ひらがな迷路のスタートはここでーす!と、ゲーム感覚で誘導してあげるようにすると、子どもたちも楽しく挑戦できます。
数字が読める子なら、書き順を一緒に見ながら、どこがスタートでしょうか!次はどこからスタートですか?先生!などと聞いて、クイズ形式や、先生ごっこをしながらやっても楽しいですよ。
形を覚えさせて、書き順だけ後からやればいいかなとおっしゃる方もいるのですが、書き順を最初から正しく覚えることはとても重要なことです。
実は私自身が、書き順を間違えたまま覚えてしまい、小学校に入学してから、書き順を覚えなおすのに非常に苦労しました。
正しい書き順は、文字を美しく速く書くことにつながり、習字に挑戦したりするときや、大人になってからも役立つ武器になりますので、練習を始める今、しっかり書き順を意識して書くことを習慣にしましょう。
飽きさせない工夫
黒い鉛筆でばかり練習していると、飽きてしまって練習してくれなくなることがあります。
我が家でも、少し練習して手が疲れてきたりすると、すぐにやめてしまうことがありました。
そして、最初のうちは筆圧が薄すぎて、書いた文字があまりはっきり見えずに本人もやる気を失ってしまうという問題も発生しました。
そこでいろいろと調べ、あるアイテムを購入することにしました。
はらぺこあおむし よくばりノート というものです。
ひらがなの練習はもちろん、カタカナや数字、アルファベットまで練習できる、とても便利なノートで、書き順もちゃんと表示されています。
そして、このノートは普通のノートではなく、ホワイトボードのような、つるつるした素材でできていて、ホワイトボード用のマーカーや、クレヨンでも書くことができるという優れものです。
商品では、確かにクレヨンでも書けるとうたっているのですが、我が家で実際に手持ちの普通のクレヨンで書いてみたところ、ざらざらの紙とは違って、色がうまく乗らないだけでなく、書いた後、きれいに消すことも非常に大変でした。
ケチらずにホワイトボード用のマーカーを用意して使うのが、一番よさそうです。
磁石でくっつくホワイトボード用マーカー8色セット。キャップに黒イレーザー付き。 消せる カラフル かわいい 白板 カラーボード
鉛筆や、普段お絵かきをするマーカーとも違う、ホワイトボードのなめらかな感触がおもしろかったようで、息子はこのよくばりノートにはまりました。
何度も書いて消せることも不思議なようで、書いては消し、書いては消し、勝手に何度も練習してくれるようになりました。
筆記具も鉛筆やペン、時にはボールペンなど、変化をつけるようにしましたし、紙、ノート、ホワイトボードと形を変えて飽きさせない工夫をしました。
練習ばかりではなく、おじいちゃん、おばあちゃんに、本物のハガキに手紙を書いて送ってみたりもしました。
このハガキはとても喜んでもらうことができ、遊びに行ったときにもたくさんほめられて、息子もうれしそうにしていました。
まとめ
ひらがなの練習は、家庭学習で一番初めにぶつかる壁かもしれませんが、子どもが楽しく練習に取り組めるように工夫すれば、遊びの一環として、進んで練習してくれるようになります。
少しづつステップアップしていくことで、子どもたちの自信につながり、できることが増えていくうれしさを体験させて、お子さんが新しいことに挑戦する勇気も育てることができます。
運筆の練習、筆圧や、文字の書き順など、練習を始めた今、最初に覚えてしまえば、学校に上がっても苦労することなく、また、将来的にもずっと自分の武器としてついてくる特技にもなりえます。
うまくお子さんのやる気を引き出して応援してあげられるように、工夫してサポートしてあげたいですね。
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